2007年5月16日 (水)

一瞬の風になれ(どん)

高校1年の秋はそれなりのシーズンをなんとか送れたように思う。

ただ腰の故障は治ったわけではなく、冬の練習もだましだましやっていた。

陸上競技のオンシーズンはもちろん春から秋にかけてであるが練習で一番重要な時期は冬である。

冬の走り込みや内容で次のシーズンの成果がはっきりと変わる。

故障があるうえに教えてくれる人がいないので、先輩と相談しながらやるしかなかった。

今思うと稚拙な練習しかできてなかったように思う。

中学時代から、冬の練習がいかに重要であるかは十分わかってはいたのだが、内容がともなっていなかった。

さらに春先に追い打ちをかける。体育の時間に肘を脱臼したのだ。

腕なので短距離走とは直接関係ないと思われるかもしれないが、スプリントと腕の動きはとても密接な関係があり、またもやシーズンの前半を棒に振ってしまった。

そういった不運もあってやはり煮え切れないシーズンとなった。

秋には完治しいくつかの試合には出たものの、公式タイムでは11秒の壁が破れなかった。(非公式ならあったんですが・・・)

そしてそのシーズンが終了し、「何となく」陸上競技から離れてしまった。

タイトルの小説を読んで感じることは、やはり高校時代の後悔だ。

あの先生がいてくれたら、あの故障や怪我がなかったら・・・、なんてことは思わないようにしているけどやはり悔しい。

ただ今大人になってこの時の経験がある意味活かされている面がある。

自分が高校時代に果たせなかったことがある。理由はもちろん自分にあるが、「良い指導者」がいて引っ張ってくれていれば何か変わっていたかもしれない。

私は今、陸上ではなく数学や理科を教えてる。

目の前にいる生徒が一人では乗り越えられない壁を乗り越えられるようにできたら。

自分が少しでも「良い指導者」になれたらと厚かましくも思っている。

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2007年5月15日 (火)

一瞬の風になれ(よーい)

私はは昨日書いたように陸上競技をやっていた。

中学から初めて高校の2年生まで続けていた。

一瞬の風になれの主人公のように最後の最後までは続けることができなかった。

中学3年の終わりに腰を痛めてそれが高校時代に尾を引いたのである。

当時は病院に通いながら練習をしていたのだ。

中学時代そこそこの成績であった私は、自分の志望校の大変素晴らしい陸上の選手(A先生)がいるのを知って俄然やる気になって勉強した。

その選手は地元奈良の人だが全国大会で入賞するほどの選手であり、中学時代にも何度かお会いした。

練習を見ていても惚れ惚れするような走り方で「この先生に教わりたいと思った。」

しかし無事入学が決まるとA先生は転勤で別の高校に行ってしまうと聞き大変ショックだった。

もちろんその先生が残した「遺産」というものがあるので先輩方の練習や指導は素晴らしかったが、何か目標を1つ失ったような気がした。

後任の先生は専門外のラグビー出身で特に指導は無かった。だから先輩たちに考えてもらったメニューをこなしていた。

もちろんそんな中でも自分で努力し実力をつけていかなければならないのだろうが、当時の私はそこまで考える余裕もなくなんとなく練習をこなしていたように思う。

おまけに腰痛や体育の時間での怪我があり1年生の時は秋の新人戦と記録会に出場しただけだった。

100mは確か11’2。中学時代からの知り合いには「復帰していきなりにしてはいいやん。」と言われて少し嬉しかった。

ただ、その友人は陸上の名門校に行きめきめき力を付けていたので素直に喜べない自分もいた。

「周りのやつらはどんどん成長しているのに・・・」

そんなことばかり思っていた。

何かもやもやした気持ちを持ちながら高校1年の競技生活が終わろうとしていた。

そんな中シーズン最後の新人戦で最後マイルリレーで決勝まで残った。

当時のチームはまさに急造チームで、一人400mを走るリレーに関わらず、メンバーで専門なのはS君のみ。

私はショートスプリント専門で、他の2人は中距離専門(800m、1500m)のT君と長距離専門のSI君。

このメンバーで決勝に残ったことが奇跡的であった。

専門のS君は第2走者。私は第4走者だ。

バトンが渡った時はおそらく6、7番目。3番以内が近畿大会へ。

専門外の私はペースがよくわからないのでとにかく前を追いかける。自分が何位かはよくわからないが、とにかく前を追いかける。

案の定300m付近でバテバテで足が動かない。もうあかんと自分では諦めていたが「ホリー!行けるぞ!!抜けー!」の声。

無理やろ、と思いながらとにかく残りの力を振り絞る。

すると周りの人間がズルズル後退。「?行けるかも?」

あるだけの力を振り絞ってゴール。後は良く覚えてない。ほとんど意識なし。

でも皆近づいて喜んでいる。

もしかして3位?

本命の何人かを抜いてゴールしたらしい。

今思うと周りが飛ばしすぎて運が良かったように思うが、意識がなくなりそうになるまで走って良かったと思った。

高校時代は自分の競技生活ではあまりいい思いではないが、このことがきっかけで怪我をしながらもさらに続けることができたと思う。

(さらに続く。たぶん明日。)

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2007年5月14日 (月)

一瞬の風になれ(いちについて)

たいへんご無沙汰しておりました。

先週末は少し余裕がなく更新できませんでした。(後日抜けていいる部分は更新予定・・・?です。)

ところで私は久しぶりに小説を読んだ。

佐藤 多佳子さんの「一瞬の風になれ」である。

本を読むのは嫌いではないのですが、普段は素粒子だの流体力学だの理系的な本を読みがちである。

また、時間がないのでどうしてもTVでの情報に頼ってしまいがちだ。

ただ今回はMBSの西アナウンサーが「これはいい本です!陸上部出身の私が保証します。部室の匂いがわかる小説です。」という言葉に魅かれ早速読んでみた。

あらすじはこんな感じ。

中学まではサッカーをやっていた新二。サッカーの天才である兄・健一と自分を比べてばかりいた新二だが、高校に入学し、幼なじみの天才スプリンター「連」の美しい走りを見て陸上部に入る。2人を中心に、陸上部の部員たちは少しずつタイムを縮め、きずなを深め、成長していく。

いわゆるスポ根ものではない。それほど才能のなかった主人公が努力の結果力を付けていくのだが、その心の葛藤や人間関係が大変よく描かれている。

私は中学高校と陸上をやっていてこの作品のリアルさ(自然さ)がよくわかる。

4継やマイル、アンダーなど次々と専門用語だ出てくるし、練習の様子や試合前のアップの仕方も実によく書かれている。
*4継(4×100mリレー。100mを4人で走る。)、マイル(4×400mリレー。400mを4人で走る。)、アンダー(アンダーハンドバトンパス。バトンの渡し方。運動会などでやるのは普通のオーバーハンドパス。)

そして陸上競技は単なる個人競技とは違い、実は大きなチームワークの上で成り立っているという事実を見事に描いている。

読み進むごとに「そうそう」と納得することばかりで、全部で3巻あるのだが一気に読めた。

読み終わった後、様々な書評を見て驚いたのは陸上競技をまったくやったことのない人にまでこのリアルさが良く伝わっているように思えたことだ。

同じ陸上競技、しかも同じショートスプリントで、しかも同じような境遇(さすがに主人公より少し遅いですが・・・詳しくは後日。)の私ははともかく、いろんな人にそのリアルさ(空気)が伝わったことがすごいと思い、また嬉しかった。

ただ、ある記事のこんなことが書いてあった。

「ラストの主人公が爽やかすぎたため直木賞の選考委員を納得させられなかった。」

本当にこれを書いた人(またはこれが本当ならそう考えた選考委員)はわかっていない。

本当に走りきった(やりきった)者にそんな感情は生まれない。

そこに生まれるのは充実感だけなのである。

ラストもあやふやなようでしっかりした名作である。 

(続く。たぶん明日に。)

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